時間屋


俺は、志乃をふわりと持ち上げる。


俗に言う、お姫様だっこだ。


「ちょ、空雅くん!?」


俺は中川を見て、ニヤリと笑う。


「お前の相手は、あとでちゃーんとしてやるよ」


「なっ…!?」


志乃を抱いたまま、窓を開けてベランダに出る。


ベランダの柵に乗り、高さを確認した。


「…木から飛べば、何とかなるか」


その言葉に、志乃は顔を真っ青にする。


「空雅…くん?まさか…」


「歯、食いしばれよ」


俺は柵から近くの木に飛び移った。


背後から中川の叫び声が聞こえてくる。


中川邸を覆う塀を飛び越えるには、十分だ。


「よし」


「よし、って、待っ…きゃあああぁぁぁ!!」


思いっきり、跳躍する。


…ったく、そんなに叫んだら、敵にバレバレだろーが!