かろうじて聞き取れるくらいの音量で、志乃は呟いた。
「なりたいわけ…ないよ…」
「じゃあ、帰…」
そこで志乃は、俺を睨んできた。
「帰れるわけないじゃない!!」
突然の大声に、俺は驚いた。
音量を下げることなく、志乃は一気に話し出した。
「みんなを傷つけないために、私はここに来たの!!また戻ったら、今度は何されるかわからない!!せっかく決意したのに、助けに来たとか言わないでよ…!」
「………」
傷つけないために?
…ふざけんな。
「…そんなの、ただの逃げだろ…!?」
「なっ…」
「お前は逃げることで護ろうとしてる!!そんなんじゃ、誰も護れねぇよ!!」
北条だって、家政婦だって、志乃を心配してる。
誰一人、護られたやつなんかいない。
それに…
「一番傷ついてんのは、お前だろ…!?」


