『…もしもーし』


「梶先輩ッ!!」


『どした?』


「お願いがあるんですけど!」


『いいけど…高くつくぜー?』


「いくらでも払いますからっ!急ぎでお願いします!」


『冗談だって!…で、何?』


俺は携帯片手に走りながら、電話の向こうの梶先輩に用件を手短に説明し、電話を切った。



俺が今向かってるのは、中川邸。

北条に場所を教えてもらい、全速力で向かう。



中川邸は、北条の家に負けないくらいのでかさだった。


防犯対策か、高い塀が豪邸を覆い隠し、入り口にはガードマンが目を光らせている。


正面突破なんて、馬鹿な真似はしない。



こーゆー時こそ、悪知恵が役に立つ。


ポケットから、小さな爆竹を取り出す。


それに借りておいたライターで火をつけ、塀の中に投げ入れた。



投げ入れた瞬間、パァンという音が鳴り響いた。


ガードマンが何事かと動き、門を開けた瞬間を見計らい、俺はするりと中川邸へ侵入した。