静かだった。


雨音以外は、空気を揺らす音はない。



志乃は中川に連れて行かれ、中川財閥のやつらはすました顔で去っていった。


取り残された俺たちは、どうすることも出来なかった。



最初に動いたのは北条で、ただ一言、休め、とだけ言った。


そのすぐ後、俺は自らの任務失敗を自覚し、意識を手放した―――…。





そして、翌朝。


土曜ということもあり、外は静かだった。



起き上がり、ぼーっとしていたところに、北条がやって来た。


「……怪我は?」


俺は軽く首を横に振る。


「…こんなの、全然ですよ」


あいつを護れなかったことに比べたら、こんな傷、何ともない。



重苦しい沈黙が流れる。


昨夜から降り続く雨が、窓を打つ。


その音に耳を澄ませ、俺は思った。



…ホラ、やっぱり。


俺の気分にぴったりだ。



情けない顔を引き締め、北条へと向き直る。


…任務は、失敗。


最悪の結果になった。