周囲は、不気味なほど静まり返っていた。
多くの視線を、無理やり思考から追い出す。
正直言って、中川は今まで相手にした奴らより、格段に腕が良かった。
だから、気を抜くわけにはいかない。
俺がやられたら、誰があいつを護るんだ。
「本当にすばしっこいですねぇ」
「そりゃ、どーも!!」
中川の攻撃を避けながら、皮肉を受け流す。
その瞬間、俺は神に見放された。
砂利に足をとられ、体制を崩した。
頭が真っ白になる中、向かってくる刃先だけはすれすれで避けた。
「………ッ」
頬に、激痛が走る。
そのまま俺は地面に倒れ、全身を打ちつけた。
中川は、咳き込む俺の髪を思い切りつかみ、無理やり立たせる。
嫌でも中川の顔が目の前にきた。
「さぁ…ちょっと黙っててもらいましょうか」
「く…そっ…」
その時だった。
「……やめなさい!!」
凛とした声が、静かな夜空に響き渡った。


