俺は、その顔を睨みつける。
「いい加減にしろよ…てめぇ」
中川は静かに立ち上がり、北条を横に蹴り飛ばす。
北条が痛みで呻く様子を、視界の端で捉えた。
北条の心配は、後回しだ。
こいつをどうにかしなきゃ、気が済まない。
「…言ったはずですよ?」
手に持っていたナイフに、中川は舌を這わせる。
その光景は、月明かりのせいで、より不気味に感じられた。
「言葉遣いに、気をつけろと」
風を切る音が聞こえた。
ナイフが、俺がいたはずの空を裂く。
「てめぇに言葉遣い正される筋合いはねぇっつの!!」
中川の背後に回り込んだ俺は、蹴りを繰り出す。
が、中川はそれをいとも簡単に避けた。
「なめないで下さいよ?昔はヤクザ仕切ってたんですから」
「…っ、知るか!」
刃物を持ってるぶん、相手のが有利だった。
下手に踏み込めば、怪我じゃ済まない。
―――考えろ、考えるんだ。


