突然響き渡った、複数の悲鳴。


俺と志乃は一斉に口をつぐむ。


「な…何…?」


「…っ、見てくる!」


俺が椅子から立ち上がると、志乃も立ち上がった。


「待って!私もっ…」


ったく、どこまで馬鹿なんだこいつは!


「お前は狙われてんだぞ!? いいから、大人しくここにいろ!」


返事を聞く前に、俺はすぐに部屋を出た。


階段を駆け上がり、廊下に出る。



深夜だった為、不気味なほどに暗かった。


灯りと言えば、微かに月の光が差し込んでいるだけ。



俺はなるべく気配を消し、廊下を素早く移動する。


「空雅さん!」


住み込みの家政婦さんらしき人が、血相を変えて向かってきた。


俺は駆け寄り、事情を尋ねる。


「一体、何が…!?」


「…っ外で…中川財閥がっ…、お、お嬢様を…」


家政婦さんは相当パニクっていて、よく聞き取れない。


「落ち着いて下さい!中川財閥のやつらが来たんですね!?」


「は、はい」