「羨ましいなぁ!空雅は」
「…うらやましい?」
眉をひそめる俺に、時間屋は頷いた。
「大事なものが、ちゃんとある」
指さされたペンダントを、俺はじっと見つめた。
「うらやましくなんかないよ。…おれには、これしかないから」
「なら、増やしてけばいいんだ」
顔を上げると、時間屋はまた微笑んだ。
「大事なものを、増やせばいい。そうすりゃ、幸せに暮らせるぞ?」
「…そうかな?」
「俺が保証する!」
少し気分が軽くなった俺は、時間屋に尋ねた。
「時間屋さんは、大事なものがないの?」
すると、時間屋は困ったように、腕を組み、唸った。
「うーん…俺にとっちゃ、大事なものを与えることが大事かな」
疑問符を浮かべる俺に、時間屋は言い直した。
「つまり、この仕事が大事!」
大事なものを、与える。
人の幸せを願うことが大事だと言った時間屋を、俺は心から尊敬した。
そして、"時間屋"という仕事も。
その瞬間、心臓が、大きく音を立てる。


