「…時計屋さんじゃ、無理だよ」
「や、時計屋じゃねーって。…まぁいいや。で、どーする?」
"どうする"。
さっきもそう聞かれたっけ。
両親は、どうでもよかった。
でも、あのペンダントだけは…
「…取り返して、欲しい」
時間屋は、その時笑顔でこう言った。
「あなたのお時間、承ります!」
あの日、ついでに施設まで送ってくれた時間屋は、取り返したらまた来るね、と去って行った。
そうして、一週間が経った。
毎日あの時間屋を心待ちにしていた俺は、やっぱり無理だったんだ、と思い始めていた。
霧雨に包まれる窓の外を、俺はぼんやりと眺めていた。
だから、
「空雅くん、時間屋っていう知り合いの人いる?」
そう先生に言われたときは、素直に嬉しかった。
駆け足で施設の門のところまで行くと、時間屋が立っていた。
「よぉ、坊や!」
「…おれ、空雅だよ」
息を切らしながらも、そう言った俺に、時間屋は「かっこいいじゃん!」と俺の頭をくしゃくしゃになでた。


