時間屋


そんな時、誰かに声をかけられた。


「あれ、どーした?坊や」


その人は、背が高くスラッとしていて、サラサラな黒髪が風になびいていた。


「…おじさん、誰?」


「あいたたー、ちょっと君、俺まだお兄さんなんだけど」


そう言って笑った顔は、何だか太陽のようだった。


その笑顔を見て、俺は自然に涙が零れた。


「ちょっ!? どーしたよ!?」


慌てるその人に、俺は泣きながらも説明した。


「…大事なっ…ペンダント、盗られちゃった」


「…盗られた?誰に」


「…っ、わかんない…知らない男の人…」


話したって、それは可哀想に、って言われるだけだってわかってた。


いつだって俺は、憐れみの視線しか向けられない。



けどその人は、俺の想像と全然違う言葉を発した。


「よーし、俺が取り返してやろう!」


その言葉が信じられなくて、俺は目を丸くした。


「あ、信じてないな!? 大丈夫、俺時間屋だから!」


「…じかんや?」


「そう!」


そう言って、その人は胸を張る。


俺はそれを訝しげに眺めた。