時間屋


…時間屋ねぇ…。


「何が聞きたい?」


「私ね、空雅くんが時間屋になったきっかけが知りたいの」


ニコニコとそう言う志乃に、俺は気の抜けた返事をする。


「…はぁ?時間屋の話じゃないじゃん」


「えー?関係してるもん。教えて?」


教えて、って…そんな簡単に。


それを話すなら、俺の過去を話すってことだ。


「………」


俺は、渋った。


そんな明るい話じゃない。


「…空雅くんの名字がないことと、関係してるの?」


静かに響いたその言葉に、俺の体が強張った。


そんな俺を見て、志乃がいきなり立ち上がった。


「ごめんね!私が土足で踏み込んでいいことじゃないよね!やっぱり、質問変えるね。時間屋って…」


「いい」


「…え?」


ポカンとする志乃を見て、俺は笑った。


「いいよ、話す。だから座れよ」


志乃はおずおずと座り直し、俺の顔をじっと見る。


きっと、本当にいいのか?って疑ってるんだろう。