時間屋


すると志乃は、ムッとした表情になった。


「…空雅くん、信じてないでしょ!」


俺は苦笑いを浮かべた。


…その通りだ。


そんな非現実的なことを、信じろと?


「…どうしても、信じてくれない?」


「…んなこと言われてもなぁ…」


呆れ気味に頭をかく俺に、志乃はため息をつく。


「…わかった。空雅くんを視るね」


「………は?」


志乃は、俺を穴があくんじゃないかってぐらい、食い入るように見つめる。


その志乃の瞳の色が、一瞬黒から碧になったのを、俺は見逃さなかった。


「…空雅くんは…」


か細い声で、志乃は続けた。


「…明日、数学の授業で先生に当てられる。でも教科書がなくて、課題を出される…」


数学の授業で当てられる?


そんなの、よくあるだろ。


「…昼休み、放送で呼び出されて…階段の3段目で足を滑らせて落ちる。でも怪我はないみたい」


階段から落ちる?


…なんか…


「呪いみたいだぞ、それ」


先視どころか、呪いの予言だ。