階段を下り、一つの扉に行き当たる。
「志乃、入るぞ」
北条はその扉を二回ノックし、中に入った。
その部屋は、思ったよりも全然普通だった。
てっきり地下牢みたいな部屋かと思い込んでいた俺は、安心した。
「志乃、時間屋の人だ」
志乃と呼ばれた女の子は、ストレートの長い髪に、大きな瞳を持っていた。
財閥のお嬢様と言われれば、ナルホドと納得する。
これは絶対、大人しいタイプだ。
「え!?…こんな若い人なんだ!!」
…ハズれた。
お嬢様は、すぐに駆け寄ってきた。
「わー。初めまして、北条 志乃です。私、てっきりおじさんが来るかと思ってた!」
「…初めまして。時間屋の空雅です」
「くーがくん?…よろしくね!」
全然大人しくなかった。
やっぱり人は、見かけじゃないよなぁ。
一方的に話しまくるお嬢様を、北条はたしなめる。
「志乃、大人しくしていなさい」
「…はーい」


