「…本当です。ほら、証明書」
俺はポケットから、身分証として使われる、"時間屋"という文字と、自分の名前が彫られたペンダントを見せた。
『………疑って悪かった。入れ』
これまた大きな門が、軋んだ音を立てて開く。
一歩足を踏み入れると、庭の広さにまた驚いた。
「…手入れ大変そー…」
突っ込むポイントを若干間違えたような気がするが、俺は直線上に見える玄関に向かって歩いた。
玄関に近付くと、中から着物に身を包んだ、中年の男性が現れた。
「…私が依頼主の、北条 健だ」
声で、さっきの門の人だとわかる。
何とも渋そうな人だ。
家からして、和風っぽい。
「初めまして。改めまして、時間屋の空雅です」
軽く会釈をすると、北条(何か気に喰わないから呼び捨て)は俺をじろじろと見る。
「…本当に君で大丈夫か?相手はかなりの腕だと伝えたはずだが」
「ご心配には及びません。こう見えまして、仕事歴10年のベテランです」


