「あ、そろそろ時間じゃね。」

「あ、本当だ。人集まった?」

「ま、いつもくらいじゃない?」

「今日も僕のファンが1番だ。」

「いや、俺だな。」

「………。」

ゼンはヒロを睨んでいた。

「え、なんなん!?これから何かあるん??」

「調度いい。お前らも暇なら聴いてけよ。俺らのライブ。ぜってえ後悔はさせねぇぜ。」

「ま、聴いてってもいいけど、あたしの美声に惚れんなよ。」

「いや、俺のギタ「僕のベースに惚れんなよ。」

「………。ま、とりあえずそっちでやるから聴いてけよ。俺がカッコ良すぎるからって小便漏らすなよ~っ。特に瑞稀。」

「漏らすかバーカ。」

倉庫の扉を開けると、教室のほうにはさっきよりすごい数の人が集まっていた。さっきはヒロのことがあって教室の風景が全く目に入ってもいなかったけど、改めて見ると黒板の前にはマイクとドラムとアンプがセットしてあった。

僕らは頑張って人を押しのけ、マイクの前に立った。あの時、なんだかとても胸がドキドキしたことを今でも覚えいる。

そして、倉庫の扉が開いた。

「「レイーーーッッ!!!」」

その時のレイの表情に僕はドキッとした。どんなに大きな歓声を聞いても、真っすぐ前だけを見つめているレイの瞳はとても綺麗だった。