岸和田真花、17歳。

ただいま、記念すべき第100回目の危機的状況に遭遇しております。









「こないでぇえぇぇええぇ!!!!!!」



星の瞬く冬の夜空の下。


蛍光灯の照らす薄暗い路地を、私は陸上選手さながらの勢いで駆け抜けていた。
まさに全力疾走。

後ろには、名前も知らぬ男が迫る。

ぶよぶよと揺れるメタボリックな肉体に、頭部にすっぽりと被された女性用下着。
どこからどう見ても変態。

ハァハァと乱れた荒い息遣いをしながら、デブらしからぬ速さで追いかけてくる。


涙目になりながら叫んだ私の声が、暗い夜道に響き渡った。




「なんで……、

なんで私ばっかりこんな目に遭うのよー!!!!!」






――改めましてこんにちは。

岸和田真花、17歳。
こんな体験は日常茶飯事。


極度の【狙われ体質】でございます。