「――はい、もしもし?」

『あ!もしもーし、茜?』

「…小夜子?久しぶりー。」


聞こえてきた声は、耳に馴染んで心地よいものだった。
彼女、近藤小夜子(コンドウサヨコ)は、高校卒業と同時にロスへ旅立った、1番の親友だ。


『久しぶりー!
…ねぇ、茜!今どこにいると思う!?』

「え?」


どこって、


(あれ?)


公衆電話、ってことは…


「日本にいるの!?」

『そう!』


うれしそうな声の向こう側から 微かに聞こえたのは、あたしたちとは対照的に落ち着いたトーンのアナウンス。


「空港?」

『うん!
…ねぇ、茜 今日会えないかな?』


会いたい!!、と即答しそうになったけど、口から出る直前 に引っかかった。

バイト、あるじゃん。