「茜ちゃん、いつものお願い。」 既に厨房に引っ込もうとしていたあたしに、後ろから声がかかる。 「はーい!すぐお持ちしますね。」 振り返ってにっこり笑うと、お客さんの横にいた蛍吾くんと目があった。 ただ じっと見つめる、茶色い瞳は 誰よりも真っ直ぐで、綺麗。 (やめてよ…) そんな目で見られても、あたしは君の気持ちには応えられないんだから。