「じゃあ、行ってくるから。」

「本当にごめんね。
…蛍吾くん、茜ちゃん、渉。
バイト代はずむから、あとよろしくね。」


早く孫の顔を見に行きたい、という表情を隠しもしない伯父さんと、
同じ気持ちを抱いていても、あたしたち3人に対して申し訳なさそうな顔をする伯母さん。


「もうわかったから。
…ほら、飛行機遅れるぞ。」


しっかり者の従兄弟は、相変わらず笑顔の父親と、「でも…」と後ろを振り返り続ける母親をタクシーへ押し込んだ。