俺は岳と目も合わさずお袋が
作った焦げ臭い目玉焼きを
口に運ぶ。


「陸.途中まで一緒に行くか?」


今までなら俺が言う台詞。


「……あぁ。」


断る理由も無く誘いを受ける。


常に感じる岳の余裕と
俺の敗北感。


俺達は何も話さずに
いつもの道を歩く。


通い慣れたはずの道なのに
今日は長く感じる。


「陸.昨日言った事.覚えてる?」


「……あぁ。」


わかってるよ…。
果懍はお前の女なんだろ…俺はお前に嫌と言う程思い知らされたんだからな…。


「良かった。(笑)俺.陸の事.嫌いに
なりたくないから…。」


「もう何とも思ってねぇよ…。」


「本当だな?お前の事.信じてるから。」


岳の果懍に対する執着心は
異常だった。


それだけ果懍に惚れているんだろうけど…なぜか違和感を感じる。


「じゃあ.ここで…。
陸.今日は早く帰って来いよ。
母さんが怒るのはお前の事が
心配なんだよ。少しは安心させて
やれよ。(笑)」


「……。じゃ俺…行くわ。」


「あぁ。気を付けてな。」


岳はいつもと変わらない。


そんな岳に対して俺は今まで通り
に接する事が出来ない。


俺って小っちぇ男だよな…。