果懍の言葉に俺の声も大きくなってしまう。


「冗談なんかじゃねぇよ!!
お前が岳の女じゃなくて他の男
の女だったら俺はとっくにそいつ
からお前を奪ってるよ!!」


もう止まらなかった。


「お前だって俺に想われても迷惑
なんだろ!?だから俺もお前の事を
諦めようとしてるのに.お前の方
こそ思わせ振りな事.言ってんじゃねぇよ!!」


「…陸君。」


「行けよ…。お前が改札抜けるまで
俺ここに居るから…。気を付けて
帰れよ。」


「…陸君…私…」


「…早く行けよ!!」


果懍は泣きながら目の前の駅に
向かう…。


俺はそんな果懍の背中を見て
何度.引き止めたいと思ったか
わからない。


お前が岳の女じゃなかったら…。


改札に入った後.果懍が振り返る。


俺の姿を見た果懍は泣き笑いの顔
で俺に手を振ってくれる。


俺も片手を上げて返した。


その日.以来.俺は果懍に会うのを
避ける為に学校が終わっても家に
帰らず誠也の家に入り浸る事が多くなった。


誠也は家に帰らない俺を不審
がっていたけど俺は果懍の事を
誠也に話す気は無い。


もう俺は果懍の事は諦めるって
決めたんだから…。


忘れなくちゃダメなんだ…。