「前園さん.お茶.入りました!!
あの…これ…朝.私が焼いたん
ですけど…良かったらどうぞ…。」


佐伯が遠慮がちに差し出し
たのはドライフルーツの
パウンドケーキ。


「えっ?佐伯が焼いたの!?
スゲェじゃん!!いただきます!!」


俺が食べるのを佐伯が
不安そうな顔で見ている。


「ん!!美味いよ!!」


「本当ですか!?良かったぁ♪」


「だから言っただろ美味い
って…何で俺の言った事.
信じないんだよ。(笑)」


「だって.誠ちゃんは何食べても
美味しいしか言わないから…。」


「本当に桃が作ったもんは
全部美味いんだから仕方無
いじゃん…。」


「………。」


また始まったラブラブトーク…。


「もぅ…前園さんの前で
恥ずかしいでしょ!!」


「別に…お好きなだけどうぞ…。
もう俺慣れちやったから。(笑)」


佐伯の顔が真っ赤になって行く。


俺は今こうして2人が
惚気合える日が来て本当
に良かったと思ってる。


楓花がお腹に居る間に
佐伯のガンは少しづつ
進行していた。


命の不安の中.楓花を出産
した佐伯はすぐに手術を受けた。


幸い子宮も摘出しなくて済んだ
事が次の希望へと繋がっている。