「…陸…。」


俺の頭上から聞こえる
懐かしい声…。


携帯を閉じ.顔をあげると
岳が立っていた。


「岳…。」


今…俺の目の前に立っている岳は
最後に見たあの冷血で傲慢な態度
のかけらさえ思い出させない程に
穏やかな表情で笑ってる。


「ごめんな…待った?」


「い.いや…俺もさっき
着いた所だから…。」


岳がクスクスと笑ってる…。


「な.何だよ…!?」


「ん?…相変わらず嘘が
下手だなと思って…。(笑)」


「……。うるせぇよ。(笑)」


岳を見た瞬間…俺は気付いていたんだ…。


それは.ずっと…ずっと俺が気に
なっていた事。


その答えを何も言わなくても
目の前の岳が教えてくれていた。


岳が想像を絶する程の
努力をした事が成果と
して現れている。


良かった…本当に良かった…。


岳が俺の横に腰掛ける。


その動作からも何の
障害も感じさせない。


「…身体…大丈夫なのか?」


「ん?…俺?…もう大丈夫だよ。
まだ.自分なりマッサージは
続けてるけど.日常の生活には
何の支障も無い位に足も手も
動くようになったよ。(笑)」


「…岳…謝って済む事じゃ
ないけど…ごめんな…。」