あの日から岳とは一度も
会っていない。


それどころか…婆ちゃんから
たまに岳の話しを聞いた時に
思い出す位で俺の中で岳の存在は
無くなってしまっている。


そんな岳とは対象的に
俺の果凜への想いは色褪せ
る事はない。


「もういい…陸君…バイバイ…。」


最後の最後に聞いた果凜の声…。


俺の胸は張り裂けそうになった。


誤解されたままの決定的な別れ。


前に誠也の言ってた通り俺は
心のどこかで果凜はずっと俺を
待って居てくれていると言う根拠
の無い自信があったんだ。


俺はどこまで自分勝手なんだろう
と改めて思う。


散々…果凜を振り回し最後には
余計に傷付けてしまった。


俺は最低な男だ…。


だから…これで良かったんだ…。


そうじゃないと果凜の中で
ハッキリとしない俺達の別れに
果凜を縛り付けていたかも
しれないから…。


これで良かったんだ…。


「陸…婆ちゃん嫌味な事を
言っちやったね…。
お前を責めるつもりは無か
ったんだよ。
ただ…岳も陸も婆ちゃんの
大切な大切な孫だから…。
本当にごめんよ…。」


婆ちゃんが申し訳なさそうな顔で俺に言って来た。


「……?」