時が足早に過ぎ俺が少年院
を出てから一年が過ぎよう
としていた。


「そうかい!!良かったね…。
あんた達もよく頑張ったよ。
あぁ…きっと良く…」


「婆ちゃんただいま!!
あぁ腹減った!!今日の晩めし…
あっ.ごめん電話中だったんだ…。」


「お帰り!!…陸が腹減った
って帰って来たよ。(笑)
近い内に陸の元気な顔を見においで…。じゃあね…。」


電話を切った婆ちゃんの目には
涙が浮かんでいた。


「婆ちゃん…?何かあったのか…?」


「岳がね…ずっと真面目に
リハビリに通ったお陰で少し
だけど感覚が戻ってきてる
らしくて…
すごく前向きになったって母さん
から電話が掛かってきたんだよ。
父さんも母さんも今までずっと
岳の事で悩んでたの婆ちゃん
知ってたから…嬉しくてねぇ…。」


泣き笑いの顔で本当に嬉しそうに
話す婆ちゃんを俺は複雑な心境で
見ていた…。


その岳を不自由な身体に
したのは俺だ。


でも俺は今もあの日の事を
後悔なんてしていない。


最後まで果凜に対しての
謝罪の言葉が無かったどころか
侮辱した岳を俺は今でも許せない
でいるんだ。


「…そっか…。」


俺はそれしか言えなかった。