ドアの向こうから母さんの
泣き声が聞こえて来た。


最近は母さんの泣き顔しか見て
いないような気がする。


それは俺のせいだって自分でも
分かっているんだ。


でも素直な気持ちには
なれず母さんに対して俺は
酷い事ばかり言っている。


母さんの泣き声がドアから遠のいて行く。


俺は重い身体をベットから起こす。


どんどんと筋肉が硬くなって
いる事は自分でも分かっていた。


手は何か掴むように指が
硬直して足なんかは中に棒が
入っているんじゃないかと
思う程に真っ直ぐに伸びた
ままだ。


さすがにバカバカしいと
思っていたリハビリを始め
ようかと考えてしまう。


それでも手間の掛かる事は
実行に移そうとしない俺は
つくづく自分は今までに楽な
方向にしか進んで来なかった
事を思い知らされる。


今までの努力は自分の
したたかな計算があって
の努力。


そんな俺の裏の顔を
周りの人間は気付いて
いたのかな?


実は俺の学校に行きたく
ない理由がもう一つある。


でもそれを口にする事は
まだ俺のプライドが許さない。


その事を考えると俺は
孤独に押し潰されそうに
なるんだ。