それから一週間もしない内に誠也
の姉貴も面倒臭くなったのか宿題
を出して来なくなったらしい。


誠也も前の様に元気になり知らぬ
間に目の下のクマのプーさんも居なくなった。


後は休みさえしなければ進級は
確実になった俺達は学校が終わる
と遊びに出掛けるようになり色々
な女をナンパしてはその場限りの
関係を続ける毎日。


相手もそれを承知で付いて来る。


ケバイ化粧と異常にテカテカした唇。


俺から見るとみんな同じ顔に
見える個性の無い女ばかり。


そんな俺が比べてしまう女は
いつも果懍だった。


ノーメイクの顔に長い黒髪と
笑うと見える真っ白な歯。


全てが新鮮だった。


お袋が言うにはあの日から何度か
岳は果懍を家に連れて来ているらしい。


でも…俺が家に帰る頃にはもう居なくて…あの日以来俺は一度も果懍に会う事はなかった。


俺はわざと会わない様にしている
のかもしれない。


また会ってしまったら
今度こそ自分の気持ちを否定
出来なくなりそうで怖かった。


あの日以来俺は何度も自分にいい
聞かせている事がある。


果懍は岳の女…好きになっちゃいけない…。