「やっぱり…まだまだだな。(笑)」


まだまだ…?
社長が俺を見てニヤケていた。


「つなぎだよ。(笑)仕事を覚える度
にそのつなぎがだんだんとお前に
馴染むようになる。
陸…ゆっくりでもいいからつなぎ
が1番良く似合う男になれ。」


つなぎが1番似合う男…。


ふと.先を見ると誠也が
ボンネットを開けてオイル
を交換している。


その表情には仕事に対する
真剣さが表れていた。


いつもバカな事ばっか言ってる
誠也がスゲェかっこよく見えた。


その下では達也さんが
車に潜ってテキパキと点検を
こなしている。


スゲェ…。


「陸.久志が向こうで外車の
修理に入ってる。
まだ.お前は車には触れねぇが…
まずは工具を覚えたり久志の手元
を見て目で覚えろ。わかったな。」


「はい!!」


久志さんの元に行くと
チラッと俺を見て笑い掛けて
くれたが.その後は一言も
話さず仕事をこなして行く。


その技術は素人の俺が見ても
凄いと感じた。


「陸.車好きか?」


久志さんが急に手を止めて
聞いてきた。


「はい!!」


「そっか。(笑)それで充分だ。
仕事って言うのは嫌々やってたら
続かねぇんだ。頑張れよ。」