誠也の安全過ぎる運転のお陰で
車だと20分程で着くはずの会社
近くの居酒屋まで35分もかかっ
てしまった。


叔父さんとの約束は8時。


ギリギリ間に合った。


「大将.うちの社長来てる?」


「おぅ。もう奥で一杯やってるよ。」


「もう.飲んでんのかよ…。」


誠也は慣れたように奥へと
入って行く。


奥にある座敷には
一見普通の人には見えない
大柄でイカツイ顔の男の人が
座っていた。


「叔父さんもう飲んでんのかよ。
陸.連れて来たよ。」


「もう飲んでんのかよじゃ
ねぇよ!!
お前は迎えに行くだけで何分
かかってんだ!!
またチンタラ.チンタラ走って
たんだろう!?」


「約束の時間には間に合っ
ただろ。あんまり飲み過ぎて
また叔母さんに怒られても
知らないからな。」


酒を飲む叔父さんの手が
一瞬止まった。


「うるせぇ!!ババァが怖くて
酒が飲めるか!!」


「叔母さんの事.怖いくせに…。」


誠也が呟いていた。


「おっ?…お前が陸か?」


急に叔父さんの視線が
俺に移された。


「初めまして。前園 陸です。」


「そんな堅苦しい挨拶は
いいから座れ。」


「はい。」