「話したくないなら…話さな
くていいわ…。
でもね.岳とあんたは兄弟
なのよ。
その事実は変えられないの…。
これから陸はどうしたい?
岳とまたあの家に住む事が
出来る?」


そうだ…俺がここを出た後
あの家に戻るとアイツが居
るんだ。


奴は生きている…。


俺はここに入ってから岳の心配
なんて一度もした事が無かった。


岳がその後どうなったのかさえ
知らない…。


そう言えば親父とお袋も
俺の前で岳の話しをしない
事に気付いた。


ただ俺に気を使ってくれて
いるだけなのか?


「アイツ…岳は今.どうしてる?」


「えっ…。あぁ.随分と良くなって
今は家に居るわよ。
入院した時に学校の方にも
1年間の休学届け出してたから。
来月からまた3年生で学校に
戻る事になってる…。」


「そっか…。お袋…俺…ここ
出たら婆ちゃん家に住んで
いいかな?
向こうでちゃんと仕事も
見付けて真面目に働くから…。」


「やっぱり…岳とは一緒に
住めない?」


「…ごめん。無理だ…。」


アイツの顔を見たらまた
俺は何をするかわからない。


それに…果懍と会わない様に
する為にはその方がいいと
思った。