遠くから聞こえる砂を踏む足音。


次第にその音は俺に近付いて
来ている。


ゆっくりと歩いて来るアイツに
苛立ちを感じた。


テメェはどこまで余裕なんだよ…。


「陸.お前さ…こんな真夜中に俺を
こんな所に呼び出すなよな。
で?…俺が星野に何をしたって?」


岳の顔を見ると笑いさえ浮かべて
いる。


「テメェが1番よく分かってるからわざわざ此処まで来たんだろが!!」


「…何の事か分からないね。」


「運転してた奴…此処に連れて
来てもいいんだぞ!!お前が果懍
を襲ったんだろうが!!」


岳の顔から一気に余裕の表情が
消えた。


「ど.どうしてお前がそんな事知っ
てるんだよ!!アイツに会って話し
たのか!?クソッ…金まで払ったのに!!」


「テメェ…最低だな。
そんなに俺が憎いかよ…?
俺が憎くくて.なんで…なんで
果懍にそんな事したんだよ!!」


「お前が1番苦しむからだよ!!
元はと言えばお前が悪いんだ!!
俺から星野を奪ったお前が悪いん
じゃないかよ!!俺の人生はお前
のせいで無茶苦茶になったんだ!!
俺は星野と結婚さえすれば安定
した人生を送れたんだぞ!!」


テメェ…自分の言ってる事が
分かってんのかよ?