いつものお袋の怒鳴り声を背中で
聞きながら俺は走った。


もう駅に着いてっかな…。


もう一度だけ…もう一度だけ。


俺は心で呟きながら駅までの道を急ぐ。


「陸…!?」


駅前にある公園の中から岳と果凜が出て来た。


居た…。


「どうした?そんなに急いで…。
遊びに出掛けるのか?」


「いや…。ちょっとコンビニまで。」


「そんなに急いで行く程コンビニ
に欲しい物があるのか?(笑)」


岳の後ろから果凜が出て来て俺の前に立った。


「凄い汗…。風邪ひいちゃうよ。」


そう言って制服のブレザーから
自分のハンカチを取り出して俺の
目の前に差し出した。


「…ありがとう。」


「陸.コンビニは逃げないから帰り一緒に寄ろうぜ。(笑)
駅まで星野を送ってく途中なんだ。付き合ってくれよ。」


「えっ。…あぁ.いいよ。」


他の女なら…断っていただろう。


でも…俺は何故だか喜びさえ感じていた。


送ると言っても駅はもう目の前に見えている。


その目の前の駅に着くまで俺は
岳と楽しそう話している果凜の顔
から目が離せなかった。