オリエンテーション終了後。
みんながザワザワと席を立ち始める。
私もカバンを手にその場を去ろうとすると
「あ、待って!」
三橋くんが私を呼び止めた。
「なぁに?」
私は振り返り尋ねる。
「あの…さ、名前は?」
「名前…って私の?」
「もちろん。君の。」
三橋くんはにこりと笑う。
「私は…三宅恵。」
「恵ちゃんか。…あ、俺は三橋健。よかったらさ…アドレス教えてくれない?」
上目遣いで遠慮がちに言う三橋くん。
してることは、軽い男の子とかわりないのに、何故か許してしまったんだ。
それは、三橋くんのこの甘いマスクと笑顔だったんだと思う。


