「愛海の名前もね、海から来てるんだよ。」
「えっ!! そうなの??」
「あれ。言わなかったっけ??」
・・・きいてないよ。お母さん・・・。
「あのね、愛海の本当のお父さんがつけたんだよ。」
「ふぅーん・・・。」



・・・・・私のお父さんは、今までに何人もいた。お母さんはいつも、本当に好きじゃなかったんだよ。って言っていた。でも今までに1人だけ真剣に愛した人がいた。




それは、交通事故で死んじゃった1番はじめのお父さん。私が3歳のころだったらしい。
・・・それからだった。いつもやさしかったお母さんが、かわりはじめたのは・・・。
夜、2時になっても帰ってこなかった。薬もやっていた。万引きもして、ばれそうになったら、私のせいにしてきた。そんなお母さんが変わったのは、ある夢がきっかけだったらしい。




2人が仲良く、恋人つなぎをして笑いながら歩いていた。すると、お父さんが悲しい顔をしてどんどん遠くへ行ってしまう。
「いかないで!!私を1人にしないで!!」
そうお母さんがさけぶと、お父さんが悲しそうな顔をして首を振りながら言った。
「ちがうだろ??お前は始めから1人じゃない。愛海がいる。」
「っ・・・。」
お父さんは最後に、にっこりほほ笑みながら
「俺もいるぞ!?」
「っ・・・。どこに??いないじゃないの!!」
そうするとお母さんをだきしめながらこういったんだって・・・。




俺は、どこにでもいるよ・・・。綾がつらいときには綾のそばにいるよ。



って、笑いながら言って消えたんだって・・・。




「お父さんが、海はあたしに似てるから・・・。って海を愛しているっていう意味でつけたんだって笑いながら言ってた。その笑顔、愛海にもみせたかったなぁ・・・。」





そのとき、おかあさんの目から涙がでていたのは、それだけお父さんを愛している証拠だと思う。





「ねぇ・・・。愛海??」
「ん?なに。」
「愛海はさ・・・・。すてきな人みつけなきゃだめだよ??」
お母さん・・・・。
「うん。素敵な人をちゃんとみつけるよ。」





約束する。お父さんみたいな素敵な人みつけるよ。何年かかっても・・・。何十年かかっても・・・・。