「霞は一応女の子だから、心配なの」

慧はそう言って、あたしの頭をがしがしと撫でる。


一応、っていうのがなんか引っかかるけど。

女の子って言ってもらえるだけで、
あたしは最高に幸せなんだよ――。







「霞先輩に、お願いがあります…」

ふわり、と髪をカールさせた女の子は、
恥ずかしそうに言った。


『何?』

「あの…慧先輩と幼なじみなんですよね?」


後輩から急に呼び出されたと思ったら、慧のことか。


…来るんじゃなかった。

そう思っても、今目の前にいる後輩はキラキラと目を輝かせていて。

今更帰る、なんてことは出来ないみたいだ。



『…まぁ、慧とはそうだけど』

「なら、お願いがあるんです…」

ぞくり、と背筋が震えた。



「…あたし慧先輩のことが好きなんです。
だから、だからっ」

『協力してほしいってこと?』

あたしがそう言うと、
彼女は目を大きく見開いて驚いていた。