「なに?どーしたの?」
心配になって、スミレの顔を覗き込む。
すると、スミレは重々しく口を開いた。
「あの…さ、言いにくいんだけど、彩音、アイコって子と仲いいでしょ?」
「え?う、うん…」
予想外にもアイコの名前が出されたことに、少し緊張してしまう。
アイコがどーしたんだろう。
「その子のウワサ聞いたんだけど…あんまり関わんない方がいーかもよ?」
「…え?なにそれ?どーして?」
「アイコって子、小学校のとき超嫌われてていじめられてたんだって。すっごい男好きで、友達の好きな子とか平気で取るって聞いたよ」
スミレの言葉に、あたしは思わず黙り込んでしまった。
アイコが平気で男の子を取る?
あたしの頭には、初めて会った日のアイコの笑顔が浮かんでいた。
あんな風に優しく話しかけてくれた子が、友達を裏切るなんて、とても考えられない。
何かの間違いだと思ったけど、とっさに否定の言葉が出てこなかった。
