永遠にきみに



「ひっさしぶり〜」

給食の時間、手洗いを終えて教室へ戻ろうと歩いていると、明るい声に呼び止められた。

振り返ると、そこには野上寿美礼(のがみすみれ)がいた。

スミレは小学校の時から仲良しで、塾の春期講習にも一緒に通っていた。

すごく頭が良くて、切れ長の目がキレイな美人さんだ。

「スミレー!久しぶり!」
「あんた変わんないねー。まぁ中学入学したくらいじゃ、なーんも変わんないか」
「ほんとだよー、だいたいみんな知り合いだしね。制服になったくらいのもんだ」

あたしは自分の制服のスカートをつまみながら言った。

この中学の制服は、公立にしてはカワイイって評判のブレザー。

茶色っぽいブレザーに、赤いチェックのスカートと、白のワイシャツ、赤いリボンっていうデザインなんだ。

男の子はスカートがズボンに、リボンがネクタイに変わった感じ。

近くの私立の高校と似てるから、たまに間違えられたりするんだけど、そのくらいカワイイんだってちょっと自慢だったりする。

「彩音さぁ…」
「ん?」

スミレは何かを言いたげに、あたしの顔を見た。

でも何も言わず、難しそうに眉間にシワを寄せている。

サバサバして、ハキハキした、いつものスミレらしくない表情だった。