その時のあたしの毎日は、暗闇そのものだった。

暗い暗い海の底で、息を殺しているみたいに

人生を生きることは苦痛でしかなくて

いつも自分の心臓を止める方法ばかりを考えていた。

きみに出会ったのは、そんな頃だったよね。



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近所の進学塾に通い始めたのは、中学に入学する直前の春休みだった。

特に理由はない。

親が行けと言ったので、あたしは素直に従った。

『中学入学直前!春期講習』と名づけられたその講習会には、30人ほどの生徒がいた。

その中にはあたしとは違う小学校出身の子たちも混じっていたようで、知っている顔と知らない顔とはちょうど半分ずつ。

けれど、どうやらみんな同じ公立の中学に行くらしいと言うことがわかった。