「…雪ちゃんは、わかってるの?」

芯が言った。

「何を、わかってるの?」

あたしは聞く。

あたしが何をわかってるの?

芯はため息をつくと、
「わかんないのも、仕方ないよね。

俺は対象に入ってないから」
と、独り言のように言った。

「…えっ?」

かすれた声が出た。

「雪ちゃんからして見れば、俺は兄弟かただの友達だもんね」

「芯…?」

芯は、悲しそうだった。

「俺の気持ち、わかんないのも、当然だよね」

何が言いたいのか、わからなかった。

ただ1つ言えることは、芯の目が悲しそうだったこと。

「俺なんか年下だから、何言ったって、ムダだよ」

芯が笑って言う。

けどその笑顔は、とても悲しそうだった。

「何が言いたいの?」

芯の悲しそうな笑顔を見ながら、あたしは言った。

「言ったって、どうしようもないよ」

独り言を言うように、芯が言った。

「雪ちゃんが好きって言ったって、雪ちゃんは冗談だって思うでしょ?」

カランと、グラスの中の氷の溶ける音がした。