「まあ、そんな奥さんは、今は仕事とイチャイチャしてるみたいだけど」

「お仕事、忙しいんですか?」

「俺の奥さんは、看護師さんだからね」

「確かに、大変そうですね」

あたしは言った。

「夜勤もあるみたいだし、朝から晩まで大忙しだよ」

そう言った中沢さんは、どこか寂しそう。

「仕事、続けているんですね」

「子供の頃からの憧れだったみたいだし、それなりにやりがいもあるんだろうな」

中沢さんは、寂しそうだった。

あたしだったら、仕事よりも中沢さんを大事にするよ?

ちゃんと、そばにいてあげるよ。

中沢さんの隣で、笑うから。

その思いを、中沢さんに伝えることができたら、どんなに楽なのだろう?

あたしは押さえられないほどの思いを隠すように、中沢さんから目を反らした。

けど、押さえられない。

溜まってしまった思いは、押さえることができない。

この思い、あなたに伝えてもいいですか?

押さえられない思いを、あなたは受け取ってくれますか?