けど、言っても信じてくれないだろう。

笑われるだけ。

バカにされるだけだから。

「中沢さんは、嫉妬したことあるんですか?」

あたしは言った。

それまで芯をからかっていた中沢さんが、あたしを見る。

「俺が?」

芯は助かったと言うように、グラス磨きを始めていた。

「中沢さんも、あるのかなって」

震えてしまいそうになる声を、何とか押さえながら、あたしは言った。

「嫉妬か…」

考え込むように、中沢さんが言った。

少し考えた後、
「あるかも、な」
と、独り言を言うように言った。

ある…かも?

「まあ、妻に芝居されたけど」

妻の言葉が出てきたとたん、胸が痛んだ。

「芝居って、何ですか?」

胸の痛みを隠すように、あたしは聞いた。

「つきあっても俺があまりにもモテるから、嫉妬した妻が芝居したんだ」

「へえ、それでどうなったんですか?」

続きが知りたいと言うように、楽しそうに聞くあたし。