ゴロゴロと走る音と共に、空が割れる。
空からは、次から次へと重力に引き付けられて勢い良く落ちてくる水。
ここ最近、天気はこんな感じで大荒れだ。
なにしろ今は梅雨の時期。

俺、こんなに勢い良く降る雨はキライだぜ。

今日は傘をもって出掛けなかった。
簡単に言えば、面倒だったから。

でも、流石にこんなに降られるとは‥。
全体が水溜りとなってしまった道路を、バシャバシャと水音を立てながら走る。
そういやこの近くに古惚けた教会があったよな。
そこで雨宿りするか。
‥‥家、近いけど。

教会の前に着くと、真っ先に階段を駆け上がって、今にも外れてしまいそうな扉をそっと開けた。
中に入ると、ピチャン、ピチャンと水滴が一定に落ちる音が響いていた。
おいおい、どっか雨漏りしてんのかよ‥。

でも、その音以外に何か聞こえてくる。

何だ?

「っ、‥‥ぅ」

‥‥泣いてる?
人か?

「誰か、いるのか?」

そう問いかけてみるが返事は無い。
俺はその声がする方に行ってみた。

「‥‥」

教会の一番前の席で、そいつは小さくなって泣いていた。
綺麗な黒髪で、白い服を着たそいつ。
一瞬、天使と見違える程に



本当に、綺麗だ。