another contract




その日から1週間が過ぎた日の朝。
起きて吃驚。
紅さんは目の前のソファーで寝ていた。

な、なんでここに?
ベッド、直ぐそこなのに‥‥。

そういえば昨日、『後輩と遊んでくる』とか言っていたっけ。
今日の学校は日曜日だから休み。
掛け布団を紅さんにそっと掛けて、部屋を出ようとしたら手を掴まれた。

「‥あ、おはよう」
「ん~‥‥」

生返事を返しながら、紅さんは目を擦る。

「今日で‥‥最後ですね。」

少し躊躇ったけれど、思い切って言ってみた。
ねぇ、紅さんはどんな返事をしてくれる?

「ああ‥そうだな」

あ、やっぱり。と思う程の普通の返事。
少し膨れっ面でそう言った彼は、寝起きのせいか少し幼く見えた。

「なぁ」
「はい?」

まだ手を離さないまま、紅さんは私の目を真っ直ぐに見詰めてくる。

「本当に、今日で最後だぜ?」
「あ、うん‥」
「今までゴメンな」
「何が?」
「俺の親父が」

『今まで』?
それ、どういう事?

「あと、本当にいろいろとありがとな」
「あ、ううん。私だって‥ありがとう」

そう言うと、紅さんは申し訳なさそうに笑った。
その笑顔には、音も無かった。
ただただ、静か。



「ゴメンな」