パタンッ

そっとドアの閉まる音がして、目が覚めた。
体を起こして、辺りを見渡してみる。
今日も月が出ている。
綺麗な、真ん丸のお月様。
その御陰で部屋の中は電気を付けなくても見えた。

あれ?紅さん、出て行ったのかな‥‥?

部屋を見渡しても、紅さんの姿は見当たらない。
時計は既に深夜12時を差していた。

こんな遅くに何処に行ったのかな?
喉でも渇いたのかな?

そこまで気にする事もないよね。
直ぐに帰って来るだろうから。
と私はタオルケットを自分の体に掛け直した。

彼は見た目がちょっと怖い様な感じ。
けれども根は本当に良い人で、優しい。
まさか自分みたいな人に、あそこまでしてくれるとは思わなかった。
でも、でもね‥‥。
一生懸命にしてくれた紅さんには申し訳ないけど、



正直、自由にならなくて良かった。



そう思っている。
もしなるのであれば、あと1週間してからが良い。
思ったよりも、私は紅さんと過ごす時が好きになっていた。
だから出来る限り、許されるだけの時間、彼と一緒にいたい。

‥‥でも、そうはいかないか。

この1週間が終わったら、また元の生活に戻るのだから。

せめて紅さんが人の血を飲めば会う機会があるのに‥‥。
まぁ、仕方の無い事だけれど。

はぁ、とため息を一つ付けば、あくびも一緒に出てきた。
明るくなるまでに、まだ時間がある。
眠ろう‥‥。