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おふくろは、俺が10歳の時に死んだ。

原因は、親父だ。

おふくろは“特別”な存在で、親父に血を与え過ぎたんだ。
親父はおふくろを病院に連れて行こうともしなかった。
おふくろの息を引き取った姿は、骨と皮だけ。
細く痩せ細った腕に足、眼球は少し出ていた。

‥‥綺麗だったのに‥‥。

そう思いながら火葬される瞬間まで、揺らいだ視界でおふくろをずっと眺めていた。
なんで、こんなになるまで親父を受け入れたんだ。と。
おふくろが死んで以降、俺は人から血を貰う事を止めた。

それは、怖いから。

俺はあそこまでして人から血を貰う事など、したくないから。
それに動物の血でも十分に生きていける。