紫馬「刑事さん?
俺は追われる覚えなんてないんだけどなあ」


紫馬はのんびりと言うが、楽屋の方から響いてくる微かな足音に気付き、軽く瞳を眇た。


紫馬「じゃあ、観客の皆様に挨拶しながら退場としますか」


 言うや否や、観客席に降りていく。


 清水も仕方なくそれに続いた。




 ゴージャスという言葉がぴったりの二人の歩みを間近で見て、色めきたつ観客。




 刑事がその舞台に着く頃には、二人の姿はもう、会場から消えていた。


fin