体温なんて無くなれば良い。



そうすれば、夢に出てくる百合奈の手が掴めるって思ってた。




最初は、夢で逢える百合奈に喜んでた。


しかし、結末はいつも同じで……俺と百合奈が再び触れ合うことは叶わなかった。



黒百合のように小さく、可憐な彼女に『恋』した俺は、




気がつけば黒百合の『呪い』に絡みつかれていた……。



でも、それ程百合奈を愛してた。



だから、触れ合うことの叶わない夢の結末を恐れ、




夢見ることが恐くなっていった。




体温も夢の逢瀬も、自分を苦しめるばかりだって……そう思ってた。






……最近までは。