「いじゅういんさまぁ!? さまって何? ひょっとして、そんな風に呼ばないと殴られるとか?」

こぼれるほど目を見開いて身を乗り出したモモを見て、クラスメイトは声をあげて笑い出した。

「何言ってるの? 伊集院家は元華族で、伊集院様のおじいさまは日本を代表するISグループのCEOよ。お父様はIS商事の社長だし、伊集院様はその一人息子で……とにかく、私たちの憧れの王子様が、人を殴ったりするわけないじゃない」

「王子様!? 王子様がなぜ公立高校に!?」

素っ頓狂な声を張り上げた途端、背後で人の気配がした。