ちゃんとやっていけるだろうか。
この上なく不安な面持ちでモモは周囲を見回した。

心なしか、どの顔も賢そうに見える。
勉強についていける自信はこれっぽっちもないが、差し当たっての問題は日々の暮らしと眼鏡の弁償だ。

教室でのオリエンテーションを終え、急いで帰ろうと廊下に飛び出した所で、モモはぎょっとして凍りついた。

伊集院正隆が目の前に立っている。

壊れた眼鏡をかけ続けている所を見ると、よほど視力が低いのか、それとも……。

「ど、ど、どうしてこの場所が!?」

思わず口にしたセリフは、刑事に潜伏先を突き止められた犯罪者のようだ。

モモの頭の中で刑事役を割り振られた少年は、拳銃を突きつけるかのようにモモの左胸を指差した。