「あの、何か……」
「あるに決まっているだろう!」

腕にかけられた指にこもる力が強くなる。
思わずあげかけた悲鳴を飲み込んだ。

強引に連れて行かれた先は、かつてモモが正隆を連行した屋上だった。

昔、ここから一人の生徒が飛び降り自殺をしたとかで、ずっと立ち入り禁止になっている。
けれども鍵はかかっていないから、途中の階段で教師に見つかりさえしなければ、いつでも足を踏み入れることができるのだ。